The duration of Japanese mora /N/ related to catching a word clear : Kinki speakers and the speakers of Tokyo and its surrounding area
- Resource Type
- Authors
- Yamagishi, Tomoko
- Source
- 阪大日本語研究. 20:151-166
- Subject
- 首都圏方言話者
知覚の差
語の聞き取り
撥音の長さ
近畿方言話者
- Language
- Japanese
- ISSN
- 0916-2135
シラブル言語を母語とする日本語学習者は、標準的日本語の特殊モーラの生成・知覚が日本語母語話者と異なる傾向がみられ、特殊モーラや日本語リズムが不自然になりやすく、習得が困難であると言われている。綾音の長さもその傾向が指摘されており、掻音の持続時間が異なると、日本語母語話者には接音を含む語が明瞭に伝わりにくい可能性があるため、本稿では語の聞き取りにどう影響するかということを調査の目的として、近畿方言話者と首都圏方言話者を対象に、投書の持続時間を変えた合成音声による知覚調査を行った。その結果、摸音の持続時間が1モーラ分の約半分でも、一部の語を除いて多くの場合、両方言話者とも聞き取りに大きな影響はないが、持続時間が長くなるに従って、首都圏方言話者には語が「聞き取りにくい」と感じる傾向がみられた。すなわち、掻音の持続時間が短くても長くても、近畿方言話者は語の聞き取りにそれほど大きな影響はないが、掻音の持続時間が長くなると首都圏方言話者は語が聞き取りにくくなり、明瞭に伝わらない可能性がある。以上のことから、日本語音声教育においても学習者の属する言語コミュニティに配慮する必要性が示唆された。