Debussy Adaptateur : Les modifications du livret de Pelleas et Melisande par rapport a la piece de Maeterlinck
- Resource Type
- Authors
- Morita, Masumi
- Source
- 学習院大学人文科学論集. (3):127-144
- Subject
- Language
- French
- ISSN
- 0919-0791
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ドビュッシーのrペレアスとメリザンド』は,音楽を少しも考慮に入れずに書かれたメーテルランクの戯曲『ペレアスとメリザソド』を,作曲家自身が自由に解釈し,修正し,オペラ台本に纒めたもめである。本論文では,この二つの作品を詳細に比較することによって,作曲家が脚色家の仕事として修正を加えたと考えられる部分を,いくつかの例を挙げながら,作曲家のrペレアスとメリザンド』に対する独自の解釈を探ってみた。ドビュッシーにとって理想的な音楽劇とは,彼自身がそのドラマに参加し,彼固有の作品を作り得る余地が残されているような劇,即ち,脚色家としての仕事もでき得る劇である。ドビュッシーは登場人物の心の奥底に隠’されている心の声に耳を澄まし,彼らの感情を捉え,伝えようとする。何年もの歳月をかけて,ドビュッシーはメーテルラソクの戯曲を削除したり,書き直したり,加筆しながら,登場人物の内面に潜む感情を引き出し,心の動きを表現し,原作にはない強い説得力を,魅力をもたせる。彼らの歓びも悲しみも,愛の陶酔も,また怒りも悔恨も苦痛も,さらなる豊かな表現力が与えられた。我々はこの作品に作曲家の創造した言語を聞く。このような作曲家の繊細な作業によって,「心理的内容」を加えられたドビュッシーの『ペレアスと’メリザンド』は,言葉と音楽が融け合い,戯曲作家が予想だにしなかったような;戯曲から独立したオペラ固有の意味と表現力を持つ。そのことがオペラの台本を明確に戯曲と区別しているといえよう。