自閉スペクトラム症の併存による注意欠如・多動症の血液動態反応への影響
- Resource Type
- Article
- Authors
- 山室 和彦; 太田 豊作; 中西 葉子; 松浦 広樹; 岡崎 康輔; 疇地 崇広; 澤田 里美; 岸本 直子; 飯田 順三; 岸本 年史
- Source
- Japanese Journal of Child & Adolescent Psychiatry. mar/apr2018, Vol. 59 Issue 2, p187-198. 12p.
- Subject
- Language
- Japanese
- ISSN
- 0289-0968
ADHD の中核症状は不注意,多動,衝動性であるが,なかでも衝動性の存在が日常生活に与え る影響は甚大である。DSM-5 となり自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)と 注意欠如・多動症(Attention Deficit/hyperactivity Disorder: ADHD)との併存(ADHD/ASD) が認められるようになったが,ADHD にASD が併存することが衝動性に如何に影響を与えるかは ほとんど分かっていない。そこで,今回我々は近赤外線スペクトロスコピィを用いてADHD と ADHD/ASD に対し,衝動性と関連のある前頭葉の機能を評価した。対象としてADHD 群は平均 8.93歳の15例と,ADHD/ASD 群は平均8.64歳の15例で検討を行った。さらに,年齢,性別,知能 指数を一致させたControl 群15例を対象とした。賦活課題としてはStroop color-word 課題を用いて, 課題遂行時の前頭前皮質の酸素化ヘモグロビン変化を測定し,ADHD 群とADHD/ASD 群を比較 した。結果として,前頭領域全24チャネルのうち,Control 群と比較してADHD およびADHD/ ASD 群でチャネル5 ,15,16,23において有意に低値であった。また,Control 群と比較して ADHD 群でチャネル11において有意に低値であり,ADHD/ASD 群でチャネル12において有意に 低値であった。さらに,ADHD 群およびADHD/ASD 群はControl 群と比較して,正答数は有意 に低く,誤答率は有意に高値であった。これらから,ADHD 群とADHD/ASD 群は前頭前皮質の 血液動態反応およびStroop color-word 課題の成績から衝動性を含めた実行機能障害に関して違い があるとはいえないことが示唆された. [ABSTRACT FROM AUTHOR]