To lose is to win: Long‐term co‐occurrence of two asexual populations realized by a dormant strategy of the inferior competitor.
- Resource Type
- Article
- Authors
- Maruoka, Natsumi; Yamaki, Kenyu; Makino, Wataru; Urabe, Jotaro
- Source
- Functional Ecology. May2024, Vol. 38 Issue 5, p1121-1133. 13p.
- Subject
- *DAPHNIA pulex
*POPULATION dynamics
*GENOTYPES
*PERIODICAL articles
- Language
- ISSN
- 0269-8463
有性生殖を行わない絶対単為生殖型生物は珍しくない。絶対単為生殖型生物では、同じ生態学的地位を持つ単一種のメンバーでありながら、異なる遺伝子型の複数個体群が1つの生息地で見られることもある。この現象が生じる理由として、遺伝子型間の時間的・空間的なニッチ分割が提案されている。しかし、その説明の妥当性や、これら異なる遺伝子型の個体群が長期的に共存出来るか否かは明らかではない。そこで私たちは、山間部の小さな湖で 9 年間にわたり、同所的に生息している絶対単為生殖型ミジンコ種の2つの遺伝子型 (JPN1とJPN2) 個体群の動態を調査した。その結果、この 2 つの遺伝子型個体群は常に同じ季節と層に出現しており、ニッチ分割では長期的な共在を説明できないことが示された。また、JPN1個体群の密度はほとんどの年において一般的に高かった。しかし、湖底堆積物中の休眠卵の存在量は2つの遺伝子型間で同程度であった。室内実験の結果、JPN1個体群はJPN2個体群を競争的に排除することが分かった。しかし、JPN2個体の多くは、JPN1個体群により競争的に排除される前に休眠卵を産んでいた。さらに、競争的に劣るJPN2個体は、JPN1個体から分泌される混雑キューを感知すると休眠卵を多く産生したが、JPN1個体ではそのような傾向は見られなかった。これら結果から、競争的に劣る遺伝子型は、競争的に排除される前に競争相手の増加を察知して毎年休眠卵を生産する能力を持つことで、個体群を長期間維持できることが示された。絶対単為生殖型生物では、環境変化に対する遺伝子型特異的な休眠卵生産応答が、単一生息地での複数の遺伝子型の長期共存に重要な役割を果たしていることが示唆された。 [ABSTRACT FROM AUTHOR]